ドア
「開けてくださいよ!」 荻上が部室の扉の前で大声を上げる。 丁度お昼にさしかかろうかという時間帯。人通りはまばらだ。 シーン。 その声に反応するものはいない。 「はぁ・・・。」 どうしてこんなことになったのだろう。原因は些細なことだった気がするのだが。 「荻上さん?」 そこに丁度現れた男。今荻上が一番頼りにしている男でもある。 「笹原先輩・・・。」 心底困った顔を笹原に向ける荻上。 「え、どうしたの?何かあった?」 「大野先輩が出てこなくなっちゃったんです・・・。」 「ええ?マジで?」 そういって部室のドアのほうに顔を向ける笹原。ノブに手をかけてみる。 ガチャガチャ。 何回かノブを回してみるが、開かない。 「ええー。困ったな・・・。」 「どうしましょう・・・。」 今にも泣きそうな顔をする荻上を前に、笹原は良い所を見せようと胸を叩く。 「ま、任せてよ。何とかして出てきてもらえばいいんでしょ? よし、何とかしてみよう。」 「本当ですか?」 続く・・・ |